国立西洋美術館に行ってきた。
「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」展である。
ブルターニュ地方は、フランスの最北西端、大西洋に突き出した半島にある。
多くの画家たちが描いたブルターニュ地方の絵画を展示。
最初の展示作品は、ウィリアム・ターナーの「ナント」(1829年 水彩、紙 ブルターニュ大公城・ナント歴史博物館)であった。
水彩のそう大きくない作品。おお、そうきたか。と思った。
撮影可の写真もあり、2作品撮影した。
ポール・ゴーガン「海辺に立つブルターニュの少女たち」
(1889年 油彩/カンヴァス 国立西洋美術館( 松方コレクション))
そして、
小杉未醒(放菴)「楽人と踊子」(1921(大正10)年頃 彩色、金地/紙(2曲1双) 茨城県近代美術館)
左隻に描かれているのは、ブルターニュの木靴を履いてボンバルドというオーボエに似た楽器を演奏する男性2人。
右隻には、その演奏に合わせて踊っている女性2人。素敵な衣装である。
このようなモチーフが日本画、屏風になるとは。
とても美しい。
小杉未醒(放菴)の作品は、他にも展示されており、
「牛」(1913(大正2)年 油彩/カンヴァス 個人蔵(小杉放菴記念日光美術館に寄託))に魅かれた。
今回、牛を描いた作品が大変気になった…。なぜだろう。
本展覧会を訪れようと思ったのは、アンリ・リヴィエールの作品が展示されると知ったからである。「フランスの浮世絵師」と言われている。
アンリ・リヴィエールは、2017年の「世界が絶賛した浮世絵師 北斎展」で「エッフェル塔三十六景」に魅せられ、その後、同年の「北斎とジャポニスム」展でも鑑賞し、すっかりファンになったが、なかなか作品と出会えない。
今回、木版画とリトグラフの作品が展示されていた。
パンフレットで紹介されていた作品。
左側が今期に展示の「連作「時の仙境」より:《満月》」(1901年 カラー、リトグラフ 新潟県立近代美術館・万代島美術館)である。
「エッフェル塔三十六景」は茶系の色使いだったので、今回のような明るい、多くの色を使った作品はとても新鮮だった。良いなあ。
右上は、岡鹿之助「信号台」(1926(大正15)年 油彩/カンヴァス 目黒区美術館)
購入したポストカード。
左上、
ジョルジュ・ムニエ「鉄道ポスター:「ポン=タヴェン、満潮時の川」」
(1914年 カラー、リトグラフ 大阪中之島美術館(サントリーポスターコレクション))
右上、
山本鼎「ブルトンヌ」(1920(大正9)年 多色木版 東京国立近代美術館)
山本鼎の作品は「ブルターニュの小湾」 (1913年 多色木版 東京国立近代美術館 )も展示されており、これも好きな作品であった。
左下、
アンリ・リヴィエール「連作「ブルターニュ風景」より:《ロネイ湾(ロギヴィ)》」(1891年 多色木版 NMWA)
右下、
藤田嗣治「十字架の見える風景」(1920(大正9)年頃 油彩/カンヴァス 岐阜県美術館)
大変落ち着いた雰囲気の作品。油彩だが水彩画のような透明感。
このほかリストに印をつけたのは…。
ジャック・ウェリー「《荒野の花》『エスタンプ・モデルヌ』第7巻、第28図」(1897年11月刊 カラーエッチング 町田市立国際版画美術館)
ウジェーヌ・ブーダンは3作品展示。ブーダンの海の絵は好きである。
ポール・シニャックの「グロワ」(鉛筆、水彩、グアッシュ)、
「ロクマロ」(クレヨンの下地、水彩、紙) (両方とも1920年代 (?) NMWA(松方コレクション))は、点描ではなくスケッチのような作品。
オディロン・ルドン「薔薇色の岩」(1880年頃)と「風景」。(両方とも油彩/カンヴァス 岐阜県美術館)
私は、ルドンというと、ちょっと「おどろおどろしい」というイメージを持っているがこの2作品は全くそういう感じでない。
「風景」は黄色い畑(何が植わっているのだろう)の奥に立派な農家らしき家が数軒描かれてる。動いているものは描かれておらず、静かな感じ。何かじーんとくる。
シャルル・コッテ「雷雨をさける漁師たち」(1903-05年頃 ドライポイントなど NMWA(松方コレクション))
アンドレ・ドーシェ「ドゥアルヌネ港の上方より」(1923年 エッチング 個人蔵)
水色の紙に刷られている。手前に大きな2本の木が描かれ、その向こうに港が見える。
長谷川潔「うずくまる若きブルターニュの女」、「坐る若きブルターニュの女」(2作とも1921(大正10)年 木口木版 横浜美術館)
長谷川潔といえば、メゾチントなど銅版画のイメージを強く持っていたが、こちらは木版画作品。
今日の上野公園は、桜もきれいに咲いており、とにかく人が多かった。
携帯電話のインターネットが繋がりにくくなるくらいだった。
そこで、館内のミュージアムカフェ「すいれん」で昼食をとることにした。
「ル・コルビジェ プレート」
お豆のスープが美味しかった。
少しずつ色んなおかずがあって、これで十分。
…しかし、「別腹」である。
休憩の後、常設展へ。