読了。
2023年本屋大賞受賞作品である。
汝、星のごとく (著)凪良ゆう
予備知識なく本書を手に取ったので、最初の「エピローグ」の部分で、主人公の夫が月に一度恋人に会いに行くのを見送るシーンから始まったのに面食らってしまった。
主人公・暁海の高校生時代から物語が始まる。
暁海の父親に恋人ができて、専業主婦の妻と娘の暁海を残して家を出てしまった。
しかも住んでいるところは瀬戸内の島でプライバシーなどなく、島中の人がそのことを知っているという状態。
「エピローグ」を思い出し、母子二代に渡ってよく似た人生を送るのだろうか…と読み進めていったが、経済的にも精神的にも自立の難しい暁海の母とは違い、暁海がかなり芯のしっかりした女性であることが分かった。
暁海が高校卒業後の進路について父親に相談しに行くと、父親恋人・瞳子がこう言う。(太字部分は本書からの引用)
わたしは仕事をしていて、それなりに蓄えもある。もちろんお金で買えないものはある。でもお金があるから自由でいられることもある。たとえば誰かに依存しなくていい。いやいや誰かに従わなくていい。それはすごく大事なことだと思う
紆余曲折あったが、暁海が経済的自立をしつつある時に、高校時代の教師・北村先生がこう言う。
人は群れで暮らす動物です。だからなにかに属さないと生きていけない。ぼくが言っているのは、自分がなにに属するかを決める自由です。自分を縛る鎖は自分で選ぶ
主人公・暁海と、もう一人の主人公である暁海の高校の同級生・櫂は二人とも自分の母のケアをする「ヤングケアラー」。
周囲に力になってくれる大人はいるものの、やっぱり子どもは親にケアされるものなのだと思った。
辛く、悲しいシーンも多いが、ぐいぐいと物語に引き込まれ、随分早く読了。
さすが「本屋大賞」受賞作である。
物語の最後を読んで、これは続編があるかもしれない、と調べると11月に発行予定だそう。
星を編む (著)凪良ゆう
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今回の「名古屋直行便」の続きである。
「むらさきや」 栗蒸し羊羹
「むらさきや」と言えば「水ようかん」を連想するが、この「栗蒸し羊羹」は秋の看板商品とのことだ。
おお…。名古屋の栗蒸し羊羹は、「松風」というカステラのような生地と刻み栗が入った蒸し羊羹が一体となった独特のスタイルだそう。
お茶碗は藤田佳三氏の「紅安南」。
こちらの「栗蒸し羊羹」もテレビ東京の番組「よじごじDays」の「受け継がれた伝統の技!雅な秋の和菓子」で紹介されていたのだ。
「松風」の部分は蒸しパンのような柔らかさ。
品質表示を見てみると、原材料名に砂糖、小豆、栗、小麦粉、味醂、醤油、食塩、カラメル、膨張剤とあった。
「松風」部分の香ばしさは醤油なのか。ううっ、美味しいじゃないか!