根津美術館に行ってきた。
昨日は府中市美術館、そして、今日は根津美術館である。
なんと贅沢な!
待望の「鈴木其一・夏秋渓流図屏風展」、其一ファンとしては初日の一番最初の時間指定チケットを取り、参上。
展示室に、大振りの屏風がずらっと並んで圧巻。
重要文化財「夏秋渓流図屏風」
鈴木其一筆 6曲1双 紙本金地着色 江戸時代(19世紀) 根津美術館所蔵
ロビーにて撮影。今回の主役である。
解説パネルに「克明な百合や桜紅葉に対し単純化された熊笹」とあり、熊笹が大変気になった。
○で囲った部分が「単純化された熊笹」である。その上に「克明な百合」が描かれているので分かりやすい。確かに・・・。
しかし、今まで数回観賞しているというのに、ずっと熊笹の描き方が気にならなかったが、今回は大変気になった。熊笹まで「克明」にしてしまうとどうなるか考えると、なんだか「くどく」なるような感じもして、其一のバランス感覚について思いを馳せるのであった。
解説パネルに「多すぎる点苔」ともあったが、これは今回は気にならないが、今後気になる時が来るかも知れない・・・。
ちなみに、「点苔(てんたい)」について調べて見ると、山水画の技法で、岩石などについた苔などを示すために要所に打つ点のことらしい。
展示室に「「夏秋渓流図屏風」をめぐるフローチャート」が提示されて、其一がこの屏風を描くのに影響を受けたとされる本展覧会の作品が写真入りで解説されていて、これがとても良かった!
重要文化財「保津川図屏風」
円山応挙筆 8曲1双 紙本着色 寛政7年(1757) 株式会社千總所蔵
※パンフレットの一部だが、現物は全く違う色である。
応挙の生涯最後の大作だそうだ。
左右から中央に向かって勢いのある流れが描かれているが、ゴーッというような音ではなく、大きく波打っている部分からドブン、ドブンと音が聞こえてくる感じ。流れは大きいものの滑らかに感じた。
左隻に魚がいることに気がついた。遡上している。応挙の描く魚が好きである。
「三十六歌仙・檜図屏風」
鈴木其一筆 8曲1双 紙本金地着色・墨画 天保6年(1835) 個人蔵
解説パネルに「其一自身による光琳画の変奏である」とあり、酒井抱一編の「光琳百図」の該当ページの写真も展示されており、見比べられるようになっていた。
「光琳百図」だと見開き1ページで、三十六歌仙は「密」な感じだが、其一は8曲1双にし、横に広げて、密を解消した感じ(?!)。歌仙の衣装も表情もほぼ同じだが、違う点を探すと楽しい。
「秋草・波に月屏風」 鈴木其一筆 2曲1双 絹本着色 江戸時代(19世紀) 個人蔵
展覧会初公開作品とのこと。
一方の面に波に月が描かれ、他方の面に鮮やかな色で秋草が描かれている。
波に月の面から見ると、秋草が透けて、これが何とも良い。ちょうど月の中に葛の花が透けている。逆に秋草の面から眺めると、よく見れば葛の花のあたりに月が透けている。
光の当たり具合で空け具合が変わって面白いかも知れない。
「藤花図」 鈴木其一筆 1幅 絹本着色 江戸時代(19世紀) 個人蔵
表装が大変豪華な感じ。中回しが根岸色(緑がかった渋い薄茶色)とか、空五倍子色(うつぶしいろ)灰色がかった淡い茶色とか、そんな色の青海波。一文字には着物の布(もしやリサイクルか?)が使われているのか、ピンクや青など多色で、部分的に絞りで絵柄が表されているような布地であった。
私は、其一のどこに魅力を感じているのか・・・と思っていたら、「桜花返咲図扇面」の解説パネルに「抒情性に流されない醒めた視覚」とあり、ああ、なるほど、これかも知れないと思った。
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美術館庭園内のカフェ「NEZUCAFÉ」に行ってきた。
ここは箱根でも軽井沢でもなく、南青山である!
私の席からこんな風景が見える。
モンブラン。もの凄く美味しかった!コーヒーも私好みの酸味の少ないタイプ。
庭園を少し回って、再び展示室に戻れるのも、根津美術館の大好きなところである。