9月18日、敬老の日に出光美術館に行ってきた。
「江戸時代の美術 ─「軽み」の誕生」展である。
あの狩野探幽が後水尾天皇に対して「絵はつまりたるがわろき」と語ったそうである。
美術展チラシによると「画面にすべてを描きつくすのはよくなく、ゆとりや隙を感じさせるようにするべきだ」との意味だそう。
本展覧会は、こういう意味での「つまらない」美意識…「詰め込んでいない」とか「盛り込みすぎていない」という感じだろうか…によって表現された絵画、陶芸品などが紹介されていた。(太字部分は解説パネルからの引用、メモの字が乱れており間違いがあるかもしれない)
「吉野・龍田図簾屏風」 狩野常信 江戸時代 六曲一双
このスタイルの屏風を見たのは初めてかも?
解説パネルに「4扇分の中央をくり抜き、簾をはめ込んだ屏風は「御簾屏風」と呼ばれ、とくに宮廷で好まれた」とあった。
簾の部分が窓のようになっていて、何とも興味深い。
「叭々鳥・小禽図屏風」 狩野探幽 江戸時代 六曲一双
展示室内で数段下げられた空間に展示。椅子が設けられ、座ってゆったりと鑑賞できる。
展覧会チラシの一番上が右隻部分である。
竹林が描かれているが、にょっきりと幹の曲がった木に数羽の叭々鳥がとまっている。飛んでいる1羽の下方に渓流が描かれている。うーん。良いなあ。
解説パネルに「減筆の度合をいっそう推し進めている」と書かれていた。
左隻については、解説パネルに「宙を舞う尾長の小禽と、渓流の側で羽を休める山鳩がわずかに具体的な姿をとどめる以外に、広大な余白の中にその一部が描かれるだけの松の樹幹や枝葉は、ただちに水墨のにじみとかすれに還元される(「にじみ」「かすれ」の上に点あり)」とある。
この「水墨のにじみとかすれに還元される」の表現!
本展覧会の解説パネルの文章にはグッとくる表現が多かったので、思わず、たくさんメモしてしまった。
「須磨・明石図屏風」 土佐光起 江戸時代 六曲一双
重要美術品。大変美しい。
描かれているものについては、解説パネルに「右隻は海側から六甲の山なみを望む須磨の風景、左隻は明石の浜から淡路島や瀬戸内の島々と、その先にかすむ四国の地までを見わたす」とあった。
そして、「みずみずしい色彩感覚と、見るものの実感に訴えるような空間構成」とも。まさにその通り。
「観梅美人図」 懐月堂安度 江戸時代 一幅
朱色の着物を着た女性が縁側の内側の部屋から屋外を見ている様子。傍らに小さく描かれた侍女。室内には波を描いた屏風が置かれている。とても美しい。
「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」 酒井抱一 江戸時代 六曲一双
2016年7月の「開館50周年 美の祭典 Ⅲ 江戸絵画の華やぎ」展、2017年10月の「江戸の琳派芸術」展でも鑑賞しているように思う。
図録を引っ張り出すと、やはり掲載されていた。
「秋草図屏風」 鈴木其一 二曲一双
ぱっと見て、大きい!と思った。サイズは167.5×181.2。
「うっすらと墨を刷いた絹の地」に秋草が描かれている。
全体的に落ち着いた色合いで、涼しい風が吹いてくるような気分になった。
早くこんな秋が来て欲しいと思った。こちらも「江戸の琳派芸術」展の図録に掲載されていた。
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出光美術館のあるビルの地下には、レストラン街がある。
オフィスが多いことから日・祝日がお休みのところもあり、敬老の日の当日、残念ながら「丸の内タニタ食堂」もお休みだった。
そこで、「丸亀製麺」を発見。
SNSで「てりやき タル鶏 ぶっかけ」や、「タル鶏天 ぶっかけ」を見て、気になっていたのである。
「てりやき タル鶏 ぶっかけ」
鶏もも肉のから揚げに、割り下と照り焼きだれの「二段仕込み」したもの、特製タルタルソース、刻み海苔の香も良い。
取り扱っていない店舗もあったりで、ようやく食べることができて嬉しかった。
もちろん、美味しかった。満足。
同行者は、「タル鶏天 ぶっかけ」
鶏天、特製タルタルソース、さらし玉ねぎに…水菜?すだちを絞って食べる。
とてもボリュームのある感じだった。