読了。
小説『火山のふもとで』をきっかけに、建築家・中村好文氏のエッセイ「住宅巡礼・ふたたび」を読み、その文章に魅かれて本書を手に取った。
表紙が端正な暖炉で、それも素敵。
そして、今更ながら、国立近代美術館工芸館が東京にあった頃に出会ったウサギの耳が背もたれになっている子ども用椅子「LAPIN」チェアをデザインしたのが中村好文氏だったことに気づいた。
普段着の住宅術 (著)中村好文
本書は、著者が様々なところで発表した文章をまとめたもの。
内容がバラエティーに富んでいて、楽しい。
「製図道具の老兵たち」という章で、平行線を引くための定規「T定規」について、次のように書かれていた。(太字は本書からの引用である)
吉村順三設計事務所から独立した後、自らの事務所職員が、地鎮祭や上棟式に着るための揃いの半纏を作ったそう。衽に「好文組」、背中に「T定規のマーク」を染め抜いた半纏だそう!
「背中に自分の職業をシンボル化した道具模様を背負うというのは、昔からの職人の伝統であり、自分の仕事に信念と誇りを持つ職人衆の心意気です。私は、その職人衆に、せめてT定規の印半纏を着ることで仲間入りさせてもらいたいと考えたのです。」
うーむ。カッコいいですね。
実物が見たいと検索すると、なんと写真を1枚検索することができた。
ちょっと感動する。
「職業病」のエピソード。
小津安二郎の映画は、室内や間取りが気になるとのことで、なんと、映画を見ながら、
「展開していくストーリーを追いながら、気がつくと手元のメモ用紙に間取りと家具配置を書き写している」。
著者によると、「不治の病」だそう。
『火山のふもとで』の著者である松家仁之氏の自宅を設計したときのことが書かれていたところに、
「「言葉にのりにくい潜在的な希望にもどれだけ応えることができたか」が、プロとして僕たちの本当の勝負どころといえるでしょう。」
とあった。
これは、どの職にも言えるように思うが、なかなか難しい。
設計について、中村氏と松家氏がFAXでやり取りされており、その文章の一部も掲載されており、なんだか小説の一部のような素敵な感じだった。
「小説家の本棚から」という章では、伊丹十三氏の『ヨーロッパ退屈日記』が紹介されていた。
「料理することの愉悦を伝える伊丹十三の文章の魅力は、なによりも具体的かつ実際的であることです。簡単に言えば、読んでいるうちに料理してみたい気持ちが胸中にフツフツと湧き上がってきて、矢も楯もたまらず台所に立ちたくなるのです」
とのこと。私も本書を読んだことがあるが、遥かかなた学生時代で、あまり覚えていない。
「私は伊丹の書いた方法でスパゲティを茹で、二日間かけて正しい方法で黒豆を煮(「二日間だけ真剣に取りくめば、日本一の黒豆ができるのだから、読者よ、どうかその労をいとわないでもらいたい・・・・・・」という言葉に励まされながら)」
この部分も全く覚えていない。
思わず、区立図書館で蔵書検索してみた。読みたいと思う。
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2月14日に税務署に行って、確定申告を済ませてきた。
昨年、期限ぎりぎりになってしまいエライ目にあったからである。
私は還付申告なので2月16日以前でも受け付けてもらえるのだ。
2020年も2月14日に還付申告に行っているが、今一つの感想がブログに書いてある。
しかし、今回は番号札を受け取り、一般の窓口で対応してもらったのは同じだが、
なんと椅子に座って順番が待てたのである!!
もしかすると、この税務署で椅子に座って待てたのは初めてでは??
ここに記録したいと思う。
しかも税務署内に紅梅がきれいに咲いていたのである。
この後、デパ地下に行くと…。
え。「季節銘菓 初かつを」が売っていた!
ちょっと早いのでは?と思いつつ、「一日一菓(5月13日分として掲載)」などで見て、食べたいと思っていた銘菓。チャンス!
おお、確かに鰹の切り身みたいである。
同封されている糸を二重にし撚って切ると、切り目に模様がでる。
写真では難しい。
このように模様ができるのは本製品が柔らかいからだそうだ。
爽やかな甘みで、口当たりもよく、これは美味しかった。